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諸種脂肪酸コレイン酸鹽を脳髓性痙攣物質に活性化する條件について
濱田 昇
1,2
1財團法人林研究所
2醫療法人財團荻窪病院内科
pp.175-178
発行日 1953年5月1日
Published Date 1953/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200349
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犬又は猿の大腦皮質に特殊の化學物質を與えた時は間代性痙攣又は強縮性痙攣の生ずをこと,而してこの間代性痙攣は錐體外路系の運動現象である事は石塚3),尾崎7)須田9)等によつて確認せられた。大黒鼠に就いては,その中枢神經系の或部位は機械的刺戟に應じて,運動現象を生ずるが,その運動現象を差引けば上記の如き化學的刺戟によつてかなり撰択的に特有の痙攣を起すことに就いては渡邊11)が之を研究し,石橋1)は大黒鼠の頭蓋骨上より穿顱穿刺により或種の化學物質を注入すると定型的の全身性の痙攣が生ずることを知り,之を腦髄性痙攣と名づけ,且この痙攣を起す物質を腦髄性痙攣物質と命名した。その後同じ方法により石橋,早川2),藤井,原田,早川4),竹田10),濱田5)6)により多數の腦髄性痙攣物質の研究が行われたが,特に竹田10)は諸種動物(蟇又は犬その他)の胆汁が同じ腦髄性痙攣物質なる事を知り,胆汁中の如何なる物質が腦髄性痙攣(強縮性痙攣をも交える)を起すかを研究し,それはDesoxychol酸Naで,これが主として間代性痙攣を起すのであり,海猽の胆汁中に特有である3-Oxy-7-Ketocholan酸鹽類は主として強縮性痙攣を起す事を確認したが,Cho1酸鹽については,そのまゝでは腦髄性痙攣物質でないが,38℃〜100℃に熱すると痙攣物質となり(之を假りに活性化と呼ぶことゝする)その作用は加温後數時間存在すること及び或種のCholein酸鹽は特殊の條件で痙攣物質となることを發見した。そこで著者はChol酸又はCholein酸鹽の活性化せられる現象について研究せんとしたのである。
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