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いとぐち
米國が生んだ最大の作曲家George Gershwinは38歳の働き盛りで世を去つたが,その死因は大腦のGlioblastomaと云われ,氏が演奏會場で突然,指に痙攣を起して倒れた事實は痛ましい記録である。その追憶は終戰後いち早く映畫化されて(Rhapsody in Blue)吾が國にも紹介された。また,米國の著明な新聞記者John Gunther氏は,大脳後頭葉のGlioblastomaで早世した愛兒(享年17歳)のために,詳細な手記(1949)を發表し不運にもめげぬ希望,勇氣,苦難の克服とゆう樣な感情は,何處にあつても變りは無いと告白しているのであるが,さて,この變りの無いものは人間の感情だけであろうか。
吾が國の著名な人で,腦腫瘍のために死亡した記録は,まだ無い樣である。剖検が行われなければ,脳出血や腦軟化症との鑑別は必ずしも容易ではないであろう。醫師の診斷書に頼るだけでは甚だ心許ない。剖検が行われた時でさえ,高度の出血を伴う惡性膠質腫は血管性疾患と紛らわしい。死亡統計や手術例の數字から,吾が國にはこの樣な疾患が極めて稀であるとする推理は,充分に検討されぬばならない。Stender(註)やHesserの論文が多くの關心を惹かなかつたのは遺憾である。
To a 25-aged man with clinical symptoms of cerebral apoplexy was revealed at autopsy a glioblastoma of the right hemisphere of the cerebrum. In the tumor tissue, sinusoid-line dilatation of the blood vessel, thrombosis and angionecrosis were very marked histologically. The authers supposed an abnormal secretion by glioblasts (angiotropic factor) for these vascular changes, which were summarized as angiopathia gliomatosa or angionecrosis gliomatosa.
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