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まえがき
1950年度より米國原子力委員會(A.E.C.)の御好意により,人工放射性同位元素の輸入が許可され各方面に於てこれに關する研究が活溌になつてきた。殊にP32は放射能がβ線だけでそのエネルギーガ1.72Mev.で大きく且放射能の測定が容易であり,又半減期が14.3日で取扱いに際しても好都合で安全であり,更にCarrier freeとして得られ,又燐酸根PO4が生體構成上にも,中間代謝としても,それが合成のためのエネルギーの貯藏及びその移動に重要な關係をなしている點で,最も多くの人々によつて所謂Tracer實驗が行われそれによる知見も亦甚だ多い。最近S. Koletsky及びJ. H. Christioは16匹のラッテを使用し,對G. P321μcを腹腔内に注射し,24時間後の各臟器内のP32の分布量(各臟器1gに對する注射量の百分率)をみるに,大腿骨が最高で4.75%,次いで骨髄2.65%,腦は分布量最も少く0.1%で,肝・胸腺・脾・膵・腎等は骨髄に次いで多く分布している。又對g.P324.5μcをラッテに注射し,3日後のラジヲオートグラフをみるに,骨・肝・脾・淋巴球に強く,腦肺等には弱く現われ,更に病理組織學的検索により,P32は強力な造血器毒の作用を有すると言う。又P32の出現は神經系の特に燐脂質の物質代謝を明かにする唯一の方法として,各方面より盛んに研究されている。一方人工放射性同位元素殊に強力なβ線のエネルギーを利用して,生體に影響をみるためにも,用いられている。例えば臨床的に白血病・眞性赤血球増多症・惡性腫瘍等に就て,種々研究されてはいるが?調節就中生體?に對するP32の影響に關しては未だ文献を見ない。?調節に就てはわが教室に於て,多年に亙り諸方面から研究しているところであるが,殊に所謂?調節中樞の存在すると言われる視丘下部に關しては,田坂2)は生體に加えられた?度刺戟に對して,視丘下部は獨自の?變化を示し,殊に血?變化に反應して,視丘下部附近に限り第2次的?上昇を示すことを證明した。又ACTH,サイロキシン,ピツィトリン,合成ビタカンファー(トランスパイオキソカンファー)等は體?に對しても中樞作用を有することは既にわが教室に於て認めているところであるが,今回われわれはA. E. C. よりわが教室に配布されたP32を利用し,?調節機序の一面を窺う目的を以て健常時,中樞麻醉?態及び諸種病的?態に就て,それによる生體?反應を觀察し,殊にその際の視丘下部附近?及び腦内ラジヲオートグラフ並に腦内分布をも合せて測定したのでこゝにその大要を述べる。
For the purpose of studying the mechanism of temperature-regulation in the living body, we observed influences, of P32 upon the tem-perature of various organs especially the hypo-thalamus of mature male rabbits with the thermoelectric method in the following condi-tions : (1) the healthy state, (2) the anaethe-tized state with luminal natrium, (3) the various pathological states (namely cutting of the breast cord, previous administration of ACTH and Nitrogen mustard etc.), and also radioautograms in brain of the rabbit by thecontact method in relation to these experiments.
Consequently we have found that there was some central influence of P32 upon body tem-perature, and various organ-temperature especi-ally the marrow-temperature was elevated remarkably by P32 in the healthy state.
On the other hand, P32 in brain, by means of radioautograph, was found to be distributed mostly in the ventral side of diencepholon, rhombencephalon and neck cord 12 hours after the injection of P32 20μc prokilo into the cys-terna, and showed diffuse distribution in the same parts 24 hours after the injection.
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