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私はこの編輯後記というものは要らないものではないかと思つている。それにも拘らず何か書けと要求される。考えてみると自分も何か雜誌を讀むとき時折うしろを引くりかえして讀んでみることがある。そこには編集同人の間の對話が出ていて,その雜誌を作る際の内幕や,また其本の内容の自慢話が出ていて,改めて其記事を讀み直してみることなどもある。固くるしいものを讀んだ後の肩ほぐしにはよいものである。今日はこの雑誌の編集會議の模樣をすつぱ抜こうかと思う。編集會議は現在は隔月に表記の編集同人と書店側の人々とを加えてひらかれる。そして豫め集まつている原稿の撰擇,配列等が議せられるのであるが,よい力作がたくさんある時は自ずから皆の顔もはずみ,順ぐりに後まわしにされている樣な原稿がたくさんある時には,暗いため息が出る。それから次號次々號等に載せる原稿の依頼先を協議する。これが又難しい仕事である。催促してもなかなか集まらないからである。そして此先の雜誌の方針をきめたり,書店からこの本は儲からない等というグチを聞いたりする。此の他に,校正だの論文や英文抄録の目通し等々を隨時やるがよい雜誌にしようとするとなかなか大變骨の折れるものである。この文章は讀者によりは寧ろ書店そのものに向つて書いているつもりなのだが,果して店主明察の用意ありや否や。何故ならば編集同人は斷じて書店側に立つているものではなくて讀者の側に立ち,且又寄稿者と共に在るものだからである。
目下,各地より送られる原稿が日に日に山積して,隔月刊の今日ではなかなか掲載が渉らないという一方には喜ばしい状態である。少しでも早く諸兄の論文を掲載する爲に,次號から嚴重な投稿規定を遵守して行き度いと思う。なお,原圖等の數についても規定數を超える場合には,實費を著者負擔に願い度く,御承知を乞う。
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