Japanese
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腦髓アミノ酸に關する研究—第II報 脳髓アミノ窒素量の発育的変動
The study on the amino acid in the brain.:(IInd Report)Developmental variation of the amino-nitrogen content in the brain.
西本 順次郞
1
Nishimoto, Junjiro
1
1九州大学医学部精神病学教室生化学研究室
1Medical Dept. Kyusyu Uuiv.
pp.138-141
発行日 1950年5月1日
Published Date 1950/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200107
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緒論
脳髓の発育は胎生後期から出生後4乃至5年の間に著明であり,殊に出生後1年間に最も著しく発育するものと考えられている.精神機能に最も関係の深い神経細胞を講成する神経蛋白質の物質的発育は如何であろうか.
Smorodinzew及Bebeschinは小兒期脳髓の化学的組成に於て,最も盛んな年齢的変化があるのは生後4年間であり,大脳に於ては,灰白質の増加がリポイドより著明であり,其の量もリポイドの2倍で,この関係が成長期に於いても不変に保たれると述べている.我々の教室でも,厨は蛋白質につき全窒素を測定し,疋田及び大村はリポイドの研究をなしたが,全窒素含有率は胎生初期から減じ,脳髓の構成物質が蛋白質からリポイドに変化していく樣である.厨の論文には,アルカリ溶解性蛋白質の窒素含有率は胎生5ケ月で多く,6,7,8ケ月は大差なく,9ケ月で増加し,生後6ケ月に最高を示した後漸減する.核蛋白質では,胎生5ケ月で最大値を示し,10ケ月に再び上昇した後は減少する.核蛋白質及びアルカリ溶解性蛋白質のこの特徴は恐らく細胞分裂と関係があるのであろう,と述べてある.著者は,蛋白質の構成的基質であるところのアミノ酸についての研ての必要を考え,厨の使用した脳材料の一部について,及び著者の脳材料についてアミノ窒素量を測定し,そのアミノ酸分布についても実驗を行つた.
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