Japanese
English
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精神外科の發端—モニスのノーベル醫學賞投與を祝して
The Origin of Psychosurgery:In honour of Dr. Egas Moniz granted Nobel-Prize in Medicine
中川 秀三
1
Nakagawa, Hidezo
1
1北海道大学医学部精神科
1Department of Psychiatry Hokkaido University
pp.133-137
発行日 1950年5月1日
Published Date 1950/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200106
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昨年10月末頃の日本の新聞は,1949年度ノーベル医学賞は,エガス・モニス教授とワルター・ヘス教授に授與される事になつたと報じている.日本の湯川博士等と一緒にスエーデンの授與式に參会する筈であつたが,モニスは老齢の爲めヘス教授のみが出席したと後報に傳えらる.ノーベル医学賞が,脳生理学のヘスと精神外科のモニスに與えられた事は,大脳の機能があらゆる専門から研究されて來た最近の医学傾向に照らして当然の事と云えよう.
Walter R. Hessはスイス國のZurich大学の生理学教授,生理学研究所の主任である.30年の間,彼は間脳の機能的構成の研究について偉大なる先導者であつた.猫脳の実験に於いて,彼は出來るだけ自然の状態に動物を観察出來る樣な「導子埋沒法」を発展さした.追求した不朽の業績は,本能,感情及び睡眠機制と共に自律神経系の,複雜な機能に新しい光を與えた事にある.戰爭以來,彼は,共同研究者と共に多くの重要な書物を出版している.就中,「植物神経系の機能的機制」(1948)と,「間脳」(1949)とが最も重要なものである.
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