Japanese
English
総説
新規ユビキチンリガーゼDorfinと神経変性疾患
Neurodegenerative Diseases and Dorfin
丹羽 淳一
1
,
祖父江 元
1
Jun-ichi Niwa
1
,
Gen Sobue
1
1名古屋大学大学院医学系研究科細胞情報医学専攻脳神経病態制御学講座神経内科分野
1Department of Neurology, Nagoya University Graduate School of Medicine
キーワード:
Dorfin
,
ubiquitin-proteasome system
,
aggresome
,
amyotrophic lateral sclerosis
,
α-synucleinopathy
Keyword:
Dorfin
,
ubiquitin-proteasome system
,
aggresome
,
amyotrophic lateral sclerosis
,
α-synucleinopathy
pp.856-868
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100535
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はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS),パーキンソン病(Parkinson's disease:PD),アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)など神経変性疾患の多くは,不溶性タンパク質からなるユビキチン化された封入体が病変部位の神経細胞質内に出現することが特徴であり1),神経細胞毒性を有する不溶性タンパク質の神経細胞内での蓄積が,近年さまざまな神経変性疾患の原因として注目されている2)。Dorfinは孤発性ALS脊髄で発現増加がみられる,われわれが同定した新規分子であり,孤発性・家族性ALSどちらの脊髄運動ニューロン内ユビキチン化封入体にも存在している。Dorfinはユビキチンリガーゼ (E3)活性を持ち,家族性ALSの原因となる変異superoxide dismutase 1 (SOD1)をユビキチン化して分解を促進し,神経細胞保護的に働いている。さらに,DorfinはALSばかりではなく,a-synucleinopathyと呼ばれる中枢神経系内にa-synuclein (aS)が蓄積する疾患においても重要な働きをしていることが明らかになりつつある。本稿ではこれまでにわれわれが明らかにしたDorfinの機能とALSおよびa-synucleinopathyとの関わりについて述べる。
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