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はじめに-脳卒中医療の重要性
水澤 今日は,山口武典先生にご足労をいただきました。
先生がこれまでの生涯で取り組んでこられました脳卒中医療の重要性は,私も神経内科医として日々痛感しているところです。しかし,私の世代では,在学中,脳卒中についてはほとんど教育されておりませんし,それ以降も診療成績は著しくは向上していません。
1995年の日本の死亡統計では,癌が一位で約26万人(現在は約31万人),脳卒中は心疾患とほぼ並んで約14万人でしたが,単一臓器としてみるとダントツに多いわけです。癌死は最多の肺癌でも約5万人ですから,脳卒中ではその約3倍の方が亡くなられ,心臓も心臓血管死を考えると約7万ですから,約2倍の方が亡くなられています。そういう重大な疾患であるにもかかわらず,皆さんの目は癌に向いて,脳卒中はあまり注目されてこなかったと思われます。また,脳卒中の場合,急性期の死亡率だけでなくて,回復しても寝たきりになる率が非常に高いということがあります。
そういうことで,いろいろ問題が多いなと思っていましたら,ここ数年,着実に死亡率が減ってきているようです。1995年は,人口10万人あたり112.0の死亡率で,米国の約2倍だったと思うのですが,2002年では103.4とだいぶ改善されています。
そういう中で,国立循環器病センター(以下,国循)の果たした役割はすごく大きいと思っております。本誌でも,ぜひ先生に,これまでやってこられたことを間近にうかがえればということで成り立った企画です。
今日のインタビューでは,まず,医師になられ,脳卒中に取り組まれる端緒となった医学部受験の頃のことをお話しいただければと思います。
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