Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
MRA上,脳動脈瘤が疑われた重複中大脳動脈
A Duplication of Middle Cerebral Artery Mimicking a Cerebral Aneurysm
林 拓郎
1
,
宮崎 宏道
1
,
市村 真也
1
,
石山 直己
1
1平塚市民病院脳神経外科
pp.174-175
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100250
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はじめに
内頸動脈から2本の中大脳動脈が分枝する場合を重複中大脳動脈と呼び,中大脳動脈のnormal variationの1つと考えられている3, 5, 6)。今回,MR angiography(MRA)で内頸動脈瘤との鑑別を要した1例を経験したので報告する。
症 例 15歳,男性
既往歴・家族歴 特記すべき事項なし。
現病歴 以前より月に1回程度の頭痛を認めていたが,この頭痛はくも膜下出血を疑わせるような激しいものではなかった。近医で片頭痛と診断されていたが,精査目的にて当科を受診した。来院時,神経学的異常所見は認められなかった。
画像所見 MRAで右内頸動脈分岐部より近位部に長径約5mm大の囊状動脈瘤様の突出した病変が認められた(図1 A,B)。MRIでは動脈瘤を疑わせるflow voidなどの異常所見は認められなかった。内頸動脈瘤を疑い,確定診断のためdigital subtraction angiography(DSA)を行った。右総頸動脈写で2本の右中大脳動脈が右内頸動脈床上部から分岐していた。この2本は再び合流することなく遠位部まで走行しており,重複中大脳動脈と診断した(図2)。この他には脳動脈瘤などの異常所見は認められなかった。RetrospectiveにMRAを検討すると,動脈瘤様に突出する部位の遠位側から中大脳動脈に沿って淡く描出される中大脳動脈が認められ,重複中大脳動脈の所見と考えられた。一方の中大脳動脈が淡く描出される原因として,2本の動脈へのblood flowの差が考えられた。
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