Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
椎骨動脈解離とBabinski-Nageotte syndrome
Dissection of the Vertebral Arteries and Babinski-Nageotte Syndrome
羽井佐 利彦
1
,
田部井 勇介
1
,
近藤 達也
1
,
蓮尾 金博
2
Toshihiko Haisa
1
,
Yusuke Tabei
1
,
Tatsuya Kondo
1
,
Kanehiro Hasuo
2
1国立国際医療センター脳神経外科
2国立国際医療センター放射線科
1Department of Neurosurgery, International Medical Center of Japan
2Department of Radiology, International Medical Center of Japan
pp.264-266
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100152
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症 例
症例は特別な既往歴のない59歳女性。6日前,孫とボール遊びをしていて急に首をひねったとき頸部左側に痛みを自覚。その後は左頸部から後頭部にかけての頭痛が悪化したり軽減,消失したりしており,右側が痛むこともあった。この間2回頭部CTが撮られていたが異常所見を認めていなかった。軽減していた頭痛が激痛となり当科を受診。緊急で撮った脳MRI拡散強調画像で延髄左背外側に高信号域を(図1 A),またMRAにて右椎骨動脈の閉塞,左椎骨動脈の狭小化と脳底動脈の信号低下を認めた(図2 A) 。両側の椎骨動脈解離による延髄梗塞と診断され入院した。
MRI撮影前は頭痛以外特に症状はなかったが,撮影直後は回転性めまいと嘔気が出現し,嚥下困難,構音障害,左顔面のしびれと右手の冷感を自覚,神経学的にも水平性眼振,左Horner症候群,左顔面神経不全麻痺,左軟口蓋麻痺,左声帯麻痺,左上肢の失調,頸部以下右半身の温痛覚の低下を認めた。触覚と深部知覚は両側ともに保たれていた。第4病日のMRIではT2強調画像でも延髄左背外側の梗塞の所見が明らかとなり(図1 D),MRAでは右椎骨動脈解離性動脈瘤を認めた(図2 B,矢印)。第5病日,右片麻痺と意職障害(JCS : 10)が出現し,呼吸困難を訴え始めたので,気道閉塞と誤嚥性肺炎を防ぐため気管切開を行った。Babinski反射は右側で陽性であった。第7病日のMRIでは梗塞は延髄左側の内側にまで拡がっていた(図1 E,F)。
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