Japanese
English
総説
ストレスと神経・内分泌ネットワーク
Stress and Central Neuroendocrine Networks
森田 恭子
1
,
関山 敦生
1
,
六反 一仁
1
Kyoko Morita
1
,
Atsuo Sekiyama
1
,
Kazuhito Rokutan
1
1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部ストレス制御医学分野
1Department of Stress Science, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate School
キーワード:
stress
,
adaptive response
,
central neuroendocrine responses
,
stress-related disorders
,
neuroimaging
,
DNA chip
Keyword:
stress
,
adaptive response
,
central neuroendocrine responses
,
stress-related disorders
,
neuroimaging
,
DNA chip
pp.397-406
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100045
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
ストレスを起因とするこころ(心)の疾患が増加し,大きな社会問題となっている。身体疾患の原因が解明され治療法が確立したとしても,ヒトがヒトとして社会生活を営む以上,ストレスは永遠の課題である。1936年,ハンス・セリエは外界からのストレッサーに対して恒常性を保つための非特異的な生体反応をストレスと定義をした。その後の多くのストレス研究は,セリエドクトリンの呪縛から逃れないでいる。しかしながら,ゲノムサイエンス,機能的脳画像解析技術,網羅的遺伝子発現解析技術,プロテオミクスなどの新しい解析技術が急速に発展しており,偉大な研究者の学説を踏まえ,われわれが手にしたこれらの強力な研究手法でセリエを越えるストレス研究を展開する時期に来ている。ストレスは本来,生物にとって最も基本的な生存戦略の1つであるが,ストレスに起因する疾患を考える場合,非特異的反応の概念に加え,個人の素因や環境因子の解析,ストレッサー特異的な反応の解析,病的なストレス反応の研究へと展開する必要がある。本稿では,ストレスの概念の変遷と脳内のストレス反応の脳内ネットワークを中心に解説し,われわれの新たな取り組みについても紹介したい。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.