Japanese
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特集 わかりやすい高次脳機能の診方
2.失語の診方
How to Make a Differential Diagnosis of the Aphasic Syndromes
田邉 敬貴
1
Hirotaka Tanabe
1
1愛媛大学医学部神経精神医学講座
1Department of Neuropsychiatry, Ehime University School of Medicine
キーワード:
aphasia
,
symptomatology
,
differential diagnosis
,
aphasic syndrome
,
degenerative aphasia
Keyword:
aphasia
,
symptomatology
,
differential diagnosis
,
aphasic syndrome
,
degenerative aphasia
pp.365-370
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100041
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はじめに
ほんの数十年前まで,「失語の診断」が取り上げられると,誰それの失語分類では何々失語に相当する,あるいは発語の流暢性,呼称,復唱,書字,読字といった機能を○,×,△で評価し,その結果これはこの失語型に相当する,といった解説が常套であった。
一方最近では,様々な神経心理検査法がかなり普及し,失語症の領域でも,標準失語症検査(SLTA)やWAB(Western Aphasia Battery)失語症検査日本語版といった検査法が一般的になっている。ただし,失語型の診断は本来臨床の診察場面でなされてきたものであり,またなされるものであり,検査法はこれを補うもの,あるいは客観化するものである。決して,心理検査の点数から失語型が決まるものではない。
患者さんの発語を聞けば失語型の診断は可能であり,近年の臨床解剖学的対応研究の進展により,どの辺りに病変があるかを推測することさえも可能となった。さらに言えば,単に失語型が決まるというよりも,病巣の局在,拡がりをかなりの確からしさをもって推定することができ,場合によっては原因変性疾患さえも推測できる時代になっている。これは各症例の治療,予後を考える上でも大事なことである。
ここでは,臨床解剖学的対応ならびに原因疾患の診断を念頭に置いた,日常臨床に即した失語の診方について解説する。
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