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特集 てんかんの基礎と臨床
4.てんかんの外科治療―側頭葉てんかんを中心に
Surgical Treatment for Epilepsy,Focusing on Temporal Lobe Epilepsy
清水 弘之
1
Hiroyuki Shimizu
1
1東京都立神経病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Tokyo Metropolitan Neurological Hospital
キーワード:
epilepsy surgery
,
temporal lobe epilepsy
,
verbal memory
,
hippocampal transection
Keyword:
epilepsy surgery
,
temporal lobe epilepsy
,
verbal memory
,
hippocampal transection
pp.211-219
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100026
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はじめに
てんかんの治療は薬物療法が基本となる。しかし,中には薬物で発作が抑制できない難治てんかんが,てんかん患者全体の約20%を占めている。成人の難治てんかんの代表は側頭葉てんかんである。全身けいれんなどが比較的薬物に反応しやすいのに対して,側頭葉起始の複雑部分発作は薬剤抵抗性の場合が多い。しかも,抗てんかん薬を増量すると容易に眠気,ふらつきなどの薬物の副作用が出現し,治療に難渋することが少なくない。
しかし,側頭葉てんかんは薬剤抵抗性が多い代わりに,外科的治療の効果がきわめて高いという利点がある。国際的集計でも,手術例の70%で発作消失が期待できる2)。術前のMRI検査で,一側の海馬が萎縮しており,脳波所見もそれに符合する場合は,手術による治癒率はさらに向上する。
したがって,てんかんの薬物治療に携わる医師としては側頭葉てんかんを正しく診断することはもちろん,対象患者が薬剤抵抗性であるか否かを的確に早期に診断することは,患者の人生に対してきわめて大きな意味を持つことを忘れてはいけない。
てんかん焦点の診断には,発作症候,脳波,画像診断が3本柱となる。まず,側頭葉てんかんの診断,続いて代表的な外科的治療法,最後に最近われわれが開発した記銘力温存を可能にした新手術法などについて述べる。
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