動き
「第11回青年期精神医学交流会」(岡山)の印象
松本 雅彦
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.330-331
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405905012
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のどかな岡山城を眺める対岸の県民ホール「三光荘」で,1993年11月27日の土曜日,岡山大学精神科青木省三先生を代表世話人として青年期精神医学交流会が開催された。この交流会も第11回と,いよいよ第2世代を迎えることとなった。大阪大学精神科に思春期専門外来が開設されて15年,それを記念し1980年に大阪でシンポジウムが持たれて第1回の交流会が発足したが,それからすでに13年という歳月が流れた。思春期専門外来が開設された1965年当時,思春期・青年期の精神医学はまだまだ雲をつかむような領域であり,多くの精神科医は何を手がかりにしてこの思春期・青年期に接近していってよいのか訊ねあぐねている状況であった。この領域に果敢に挑戦し,道を切り拓いてこられた藤本淳三,清水將之をはじめとする大阪大学精神科の先生方には,この交流会が第2世代を迎え,この会に参加する若い人たちが生まれなお生まれつつあることに,ひとしおの感慨を持たれたことであろう。
この会はこれまで10回すべて近畿圏,関東圏,中部圏で開催されてきたが,第11回を機に中国・四国圏に足を延ばして岡山で開催され,しかも120名余の参加者のもとで盛会を得たことも特筆されるべきであろう。このような青年期精神医学への関心の高まりは,「豊かさ」を獲得したといわれる日本の中で,心の病理が低年齢の子どもたちにまで広がっていることによるとみるべきであろうか,それとも精神医学の進歩がこれまで看過されていた若者の病理にようやく触れることができるようになったとみるべきであろうか。
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