Japanese
English
研究と報告
精神科患者における多重債務の問題とその対応
Clinical Management of Psychiatric Patients with Multiple Debts
中尾 智博
1
,
坂田 美穂
1
,
竹田 康彦
1
,
木村 光男
1
,
菅原 英世
2
,
脇元 安
1
,
森山 成彬
1
,
斉藤 雅
1
Tomohiro NAKAO
1
,
Miho SAKATA
1
,
Yasuhiko TAKEDA
1
,
Mitsuo KIMURA
1
,
Hideyo SUGAHARA
2
,
Yasura WAKIMOTO
1
,
Nariakira MORIYAMA
1
,
Masashi SAITO
1
1八幡厚生病院
2大分医科大学臨床薬理学教室
1Yahata Kosei Hospital
2Department of Clinical Pharmacology and Therapeutics, Oita Medical University
キーワード:
Multiple debts
,
Psychiatric patients
,
Psychotic symptom
,
Self-bankrupt
,
Life events
Keyword:
Multiple debts
,
Psychiatric patients
,
Psychotic symptom
,
Self-bankrupt
,
Life events
pp.643-650
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904792
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【抄録】 近年,社会的にもよく取り上げられる多重債務の問題が,精神科の臨床に及ぼしている影響について調査を行った。筆者らが現在治療中の症例のうち8症例が,多重債務の問題を抱えていた。本人の疾患は精神分裂病4例,躁うつ病1例,うつ病1例,病的賭博1例,薬物依存1例であった。精神症状に続発して多重債務の問題が発生したり,多重債務が精神症状を惹起したりするなど,両者間に種々の関連性を見い出すことができた。債務は,生活苦,ギャンブル,浪費などを機に,クレジットカード使用によって拡大していた。入院治療と同時に,個別弁済,自己破産,任意整理など様々な対応がなされていたが,多くは家族が肩代わりしており,その経済的,精神的な負担は大きかった。今後も多重債務問題の増加が予想され,本人,家族の精神,経済両面の安定のために,臨床の場で適切な対応を行う必要があることを説いた。
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