動き
「第8回日本臨床精神神経薬理学会」印象記
高橋 三郎
1
1埼玉江南病院
pp.110-111
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904702
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1991年に福島で旗揚げされたこの学会も,今年は第8回を数え,1998年9月17,18日の2日間,北海道大学精神科小山司教授を会長として札幌市で開催されたが,年々演題も増えてきており,今年は300名に達する参加者があった。臨床精神薬理学,すなわち,種々の精神疾患に薬物療法を行う場合の理論と実践についての知識の重要性が認識されてきている。
さて,学会第1日は,教育講演として「チトクロームP450の基礎」(熊本大学石崎高志教授),「チトクロームP450の臨床」(山形大学大谷浩一教授)があった。石崎氏は主に薬理学の面から臨床医が投薬した向精神薬が肝臓のチトクロームP450(CYP)によって代謝され,これらの薬物の血中濃度を決定する最も大きな因子となっており,したがって,その効果や副作用発現に最も強くかかわっている因子であることが近年よく知られていること,このCYP酵素活性は,各個体が有するCYPの遺伝子型によって決定されており,また,併用される内科系薬剤ばかりか種々の向精神薬自身がこの酵素を阻害することによって,相互作用を生じていること,などを紹介した。
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