「精神医学」への手紙
Letter—「法外」とは法外な/Letter—「大量かつ長期にわたるalprazolam乱用の1例」に関して
岡田 靖雄
1
1精神科医療史研究会
pp.904-905
発行日 1993年8月15日
Published Date 1993/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903508
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精神科医はことばに敏感とおもっていたが,どうもそうでもないらしい。精力的にことばを論じている人が,平気で「文盲」の語をつかったりする。いまわたしがもっとも気になっているのは,「法外入院」,「法外施設」の「法外」である。大谷實氏のような法律学者もこの語をつかっている。
法律用語辞典をみると,「法外」の語はなく,労働組合法の条件を具備しない「法外組合」の語だけがのっている。手もとの「広辞苑」(初版のものだが)をめくると,「法外」は“①定まった法にはずれること。②程度をこえること,過度。なみはずれ。とてつもないこと。「――な値段」”とある。「法外」には,非合法とまではいかぬが,常識はずれといった非難の意味合いがあるのである。すると,とくに「法外入院」などいうと,いかにも問題のあるやり方のようで,精神科医のやることはわけがわからん,といわれそうである。
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