「精神医学」への手紙
Letter—佐藤氏の所論(Schneiderの一級症状をめぐって—「ごく控えめに」か「間違いなく」か)への批判
柏瀬 宏隆
1
,
各務 克充
1
1防衛医科大学校精神科学教室
pp.331
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903422
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本欄(本誌34:1216,1992)に佐藤裕史氏は,Schneiderの一級症状について,“in aller Bescheidenheit”を従来「ごく控えめに」と訳され理解されてきたが,これは誤りで,Schneiderは「間違いなく」と考えていたようである旨を指摘されている。佐藤氏は,“in aller Bescheidenheit”とは,辞書ではwith alldue modesty,「いくら遠慮しなくてはならないとしてもやはり」とあり,数人の独文学者の意見でも,一級症状が揃えばまず分裂病に間違いないと原著者は考えていたように読めると言われるのである。
Schneiderの原著書(p 65)2)と平井・鹿子木の翻訳書(p 148)1)にあたってみよう。“Woderartige Erlebnisweisen einwandfrei vorliegen undkeine körperlichen Grundkrankheiten zu finden sind, sprechen wir klinisch in aller Bescheidenheit von Schizophrenie.”「このような体験様式がまちがいなく存在し,身体の基礎疾患が何も発見されない場合に,我々は臨床的に,ごく控えめに,分裂病だということができよう。」
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