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■はじめに
摂食障害の患者は,主として精神科,心療内科,内科,小児科,産婦人科などを訪れる。その患者数は近ごろ増加し,各学会でも注目される主要なテーマの1つになっている。そこで,今年の関連学会で摂食障害を取り扱った演題の全一般演題数に対する割合を調べてみた。そうすると,心身医学会では364題中65題(18%),精神分析学会では66題中12題(18%)で,約5分の1から6分の1を占め,児童青年精神医学会でも109題中13題(12%)であった。また,心身医学会では,公開市民フォーラムの演題の1つとなっており,児童青年精神医学会では,症例検討4例のうちの1例として取り上げられている。その他,行動療法学会や内分泌学会でも演題が出されている。
さらに,摂食障害は,いまや,全世界的なテーマであって,世界各地で国際学会が持たれるようになっている。例えば一昨年(1991年)秋には,ベルギーのLeuvenでEuropean Council on Eating Disordersがあり,昨年(1992年)春には,New YorkでInternational Conference on Eating Disordersがあった。この学会は隔年に開催されていて今回が第5回であった。今年(1993年)もヨーロッパやアメリカでいくつかの国際会議が開かれる予定である。また,国際的な専門誌として,International Journal of Eating Disordersが1981年から刊行されている。我が国でも食行動異常研究会などの会合が持たれている。また,厚生省の研究班の1つとして,神経性食欲不振症調査研究班があり,現在は筆者がその班長を務めている。
これらで取り上げられている内容としては,診断基準,疫学,病因,病態生理,病態心理,治療法などである。本誌はclinical psychiatryの雑誌であるから,ここでは,これらの中から診断基準や治療に関するトピックスに重点をおいて述べる。
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