Japanese
English
研究と報告
ヨードホルムガーゼの手術創充填によりせん妄状態を呈した直腸癌の2例
Two Cases of Postoperative Rectal Cancer with Derilium Due to Iodoform-gauze Replacement in Open Wound
笠原 友幸
1
,
石郷岡 純
1
,
三浦 貞則
1
Tomoyuki Kasahara
1
,
Jun Ishigooka
1
,
Sadanori Miura
1
1北里大学医学部精神科
1Department of Psychiatry, Kitasato University School of Medicine
キーワード:
Iodoform poisoning
,
Iodine poisoning
,
Delirium
,
Rectal cancer
,
Colostomy
Keyword:
Iodoform poisoning
,
Iodine poisoning
,
Delirium
,
Rectal cancer
,
Colostomy
pp.409-416
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903230
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【抄録】 ヨードホルムは古くから創傷や潰瘍の殺菌や消毒に用いられているが,その中毒症状としてせん妄,頭痛,頻脈,対光反射の遅延などがみられることはあまり知られていない。今回,我々は直腸癌の手術後の開放創にヨードホルムガーゼを挿入したところ,せん妄状態を呈した2症例を経験したので報告した。症例1は79歳の女性,直腸癌の診断のもと腹会陰式合併切除術と人工肛門造設術を受け,開放創にヨードホルムガーゼ5m充填された。術後5日目よりせん妄状態となったが,ヨードホルムを中止したところ約2週間で回復した。症例2は59歳の男性,直腸癌の診断のもと腹会陰式合併切除術と人工肛門造設術を受け,開放創にヨードホルムガーゼ6m充填された。術後6日目よりせん妄状態となったが,ヨードホルムを中止したところ約1週間で回復した。中毒症状は主としてヨードホルム自体の中枢神経系に対する麻酔作用に起因し,長期あるいは大量使用の場合はヨードの中毒作用も合併してくると考えられた。
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