Japanese
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研究と報告
いわゆる登校拒否症の実体について—DSM-Ⅲ-R多軸診断システムの適用
The Application of DSM-Ⅲ-R Multiaxial Evaluation System in the So-called School Refusal
宮本 洋
1
,
小泉 準三
2
Hiroshi Miyamoto
1
,
Junzo Koizumi
2
1湯原病院
2筑波大学臨床医学系精神医学
1Yuhara Hospital
2Department of Psychiatry, Institute of Clinical Medicine, The University of Tsukuba
キーワード:
School refusal
,
DSM-Ⅲ-R
,
Multiaxial evaluation system
Keyword:
School refusal
,
DSM-Ⅲ-R
,
Multiaxial evaluation system
pp.1343-1350
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903166
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【抄録】 いわゆる登校拒否児に対し,DSM-Ⅲ-Rの多軸診断システムを適用してその実体について検討した。その結果,本症は過剰不安障害,同一性障害,行為障害など様々な小児期・青年期の精神障害とみなされた。学歴社会に起因するストレスを心理的社会的ストレスとして評価して分析すると,同ストレスが高いと機能の全体的尺度(GAF尺度)が低く,過剰不安障害など小児期または青年期の不安障害などの割合が高くなり,逆に同ストレスが低いとGAF尺度はさほど低くはなく,性格障害など小児期や青年期に特定されないその他の障害の割合が高くなる傾向があった。DSM-Ⅲ-Rは我が国における登校拒否を取り扱う上で実情に合わないという批判もあるが,実際的な評価が可能であり,むしろ「登校拒否症」として一括して診断していることの問題点が示唆された。
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