Japanese
English
研究と報告
境界型人格障害の下位分類の試み—ボーダーラインスケールの数量的解析を通じて
An Attempt to Find Subtypes of Borderline Personality Disorder: by means of psychometric analysis of borderline scale
町沢 静夫
1
,
佐藤 寛之
1
Shizuo Machizawa
1
,
Hiroyuki Sato
1
1国立精神・神経センター,精神保健研究所成人精神保健部
1Department of Adult Psychiatry National Center of Neurology and Psychiatry, National Institute of Mental Health
キーワード:
Borderline personality disorder
,
Subtype
,
Psychometry
,
Cluster analysis
Keyword:
Borderline personality disorder
,
Subtype
,
Psychometry
,
Cluster analysis
pp.1201-1209
発行日 1991年11月15日
Published Date 1991/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903145
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【抄録】 境界型人格障害は今もって明確な単一疾患と考えることは困難だと思われる。我々の今までの研究では診断的に境界型人格障害は分裂病と大うつ病の中間に位置するものであることが数量的解析で見いだされている。今回再びボーダーライン・スケールを使って境界型人格障害の症状内容を数量的にさらに詳細に分析するとともに臨床的経験を考慮しつつ境界型人格障害の下位分類の可能性を探ってみた。44人の境界型人格障害患者のデータの因子分析,クラスター分析に基づいて,2つの下位分類を見いだした。第1型は自己の感覚(sense of self)や自己の構造が脆弱なため分裂病に近い症状を一部呈する自己脆弱性優位型と考えた。第2型は絶望感や孤独感といったうつ病に近い症状が強くみられる抑うつ気分優位型と言えるものであった。この2つのタイプにはそれぞれ特有の心理療法および薬物療法の配慮が必要だと考えられた。
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