Japanese
English
研究と報告
被虐待体験を持つ境界性人格障害の2成人例
Two Adult Cases of Borderline Personality Disorder who Suffered from Child Abuse
中村 曜子
1
,
中田 潤子
1
,
飯嶋 宏枝
1
,
三田 のりこ
1
,
笠原 敏彦
1
Akiko NAKAMURA
1
,
Junko NANATA
1
,
Hiroe IIJIMA
1
,
Noriko MITA
1
,
Toshihiko KASAHARA
1
1国立国際医療センター精神科
1Department of Psychiatry, International Medical Center of Japan, Tokyo
キーワード:
Child abuse
,
Borderline personality disorder
,
Psychic trauma
Keyword:
Child abuse
,
Borderline personality disorder
,
Psychic trauma
pp.495-500
発行日 1999年5月15日
Published Date 1999/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904767
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【抄録】 幼少期から児童期・思春期まで長期にわたる母親からの虐待が外傷体験となり,様々な心理的問題を示した2成人例について報告した。両症例とも児童・思春期の心理的発達に歪みが認められ,18歳以降になると,著しい見捨てられ不安,自傷行為,情緒不安定など境界性人格障害の特徴が顕著となった。
心的外傷を負った人の治療法として,安全性の確保が第1条件と言われている。しかし,過去に最も安心できるはずの母親から慢性的に虐待されると,他者を信頼したり依存することが不安を引き起こすため,治療関係の形成や維持も困難であった。こうした症例といかに治療同盟を結ぶかが大きな課題として残された。
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