動き
「第32回日本心身医学会総会」印象記
笠原 敏彦
1
1北海道大学医学部精神医学教室
pp.1025
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903121
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第32回日本心身医学会総会は,近畿大学医学部第4内科中島重徳教授を会長に,1991年6月7〜9日に大阪国際交流センターにおいて盛大に開催された。会長講演,特別講演2題,招請講演2題,教育講演7題,シンポジウム5題,ミニシンポジウム3題,一般演題(口演・ポスター)300題という内容の豊富さは中島会長の本学会に対する意気込みの強さを示すものであり,その気配りの細やかさとともに参加者に感銘を与えた。
特別講演の日野原重明先生は「高齢社会と心身医学」というテーマで「なぜ心身医学は老人に目を向けなかったか」という問題を提示し,「医療の進歩が老人と病気を増加させている現状」に対し,ボーヴォワールの「人生最後の15〜20年を廃品として過ごすのは文明の挫折」という言葉なども引用しながら,「老化」と「老い」という対比的概念から心身医学的対策の重要性を説かれた。池見酉次郎先生は,長年にわたる心身医学の実践に基づいた「心身医学とQOL」という啓蒙的な講演をされた。また,会長講演として中島重徳教授が「気管支喘息発症へのストレスの関与」というテーマで若い頃の臨床経験から現在の教室の充実した研究までを話された。先生の人柄をうかがわせる味わい深い講演であった。
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