「精神医学」への手紙
Letter—向精神薬によるrestless legs syndromeの予備的調査
寺尾 岳
1
,
吉村 玲児
1
,
安松 聖高
1
,
大森 治
1
,
白土 俊明
1
1産業医科大学精神医学教室
pp.1030
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903122
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向精神薬によるrestless legs syndrome(RLS)2〜4)は,2次性の不眠を惹起し,ひいては精神症状が増悪する危険性をはらんでいます。したがって,精神科薬物療法において重要な副作用であるにもかかわらず,筆者らの知る限りにおいて,この実態を調査したものはありません。
今回,筆者らは産業医科大学神経精神科へ半年間(1990年3月〜1990年9月)に入院した患者を対象に調査を行ったので報告します。対象は48名(男性15名,女性33名)で平均年齢は39.7±16.7歳でした。精神科的診断は分裂病圏19名,感情病圏14名,神経症圏6名,その他9名でした。入院時に,これらの患者に対しそれまで夜間就床前に蟻走感などの異常感覚を下肢に生じたことがないかどうか問診しました。そして退院後,カルテ記載(看護記録および主治医記録)を検討し,入院中のRLSの有無を判断しました。RLSの診断には,Brodeurら1)の診断基準を用いました。すなわち,夜間就床前に下肢の異常感覚が生じ,そのため不眠を呈した場合にRLSと診断しました。向精神薬との因果関係に関しては,まず従来からRLSとの関連が指摘されている鉄欠乏性貧血,尿毒症,妊娠などの状態になく,さらに向精神薬の投与により惹起され中止により軽快することをもって向精神薬によるRLSとしました。
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