巻頭言
大学教育改革と精神医学卒前教育
福島 裕
1
1弘前大学医学部神経精神医学教室
pp.908-909
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903107
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このところ,大学教育改革の動きが急である。去る2月に「大学教育の改善について」大学審議会答申が公表されたが,それを受けて,文部省は大学設置基準を改正するための関連法案を国会で成立させ,本年7月1日には,これら関連法の施行と同時に大学設置基準を改正し,平成4年度からの教育改革の実施を可能とした。
この改正の目的は,現在わが国の大学教育の枠組みを規定している大学設置基準を改め,可能な限り大綱化し,個々の大学がそれぞれの理念・目的に基づいて,自由かつ多様な形態で,自主的な教育を実施しうるようにすることにある,とされている。簡単に言えば,これまで,細部にわたって,文部省が規定してきた大学教育の基準を,一定の大枠のみを示すにとどめ,細部については各大学で自由に出来るように改めるということである。しかしながら,このように,にわかに枠を外すと言われてみると,自由で新鮮な教育への意欲がかきたてられるよりも,大学教育の再編成への戸惑いと不安が先立つことも否定できない。というのも,この答申には,「教養部改組」,「進学課程と専門課程の区分の廃止」,「6年間を通じた一般教育と専門教育の並行教育」,「医学部教育も原則的に単位制とする」などが謳われており,これまでの医学部教育に慣れてしまったものにとっては,なかなか馴染み難い内容なのである。さて,このような改革の中で,精神医学教育はどのようになされてゆくべきであろうか。
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