Japanese
English
研究と報告
失立失歩の臨床研究—特にヒステリー性格およびその力動性について
Clinical Study of Astasia-Abasia
柴田 恵理子
1
,
鍋田 恭孝
2
,
石田 松雄
3
,
野村 総一郎
4
Eriko Shibata
1
,
Yasutaka Nabeta
2
,
Matsuo Ishida
3
,
Souichirou Nomura
4
1国立小児病院
2防衛医科大学校精神医学教室
3医療法人静心会桶狭間病院
4立川共済病院精神科
1Psychiatric Department, National Children's Hospital
2Department of Psychiatry, National Defence Medical College
3Okehazama Hospital
4Department of Psychiatry, Tachikawa Kyosai Hospital
キーワード:
Astasia-abasia
,
Hysterical personality
,
Dynamics of hysteria
,
Adolescence
Keyword:
Astasia-abasia
,
Hysterical personality
,
Dynamics of hysteria
,
Adolescence
pp.643-651
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903067
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【抄録】 ヒステリーの代表的な転換症状である失立失歩に視点をおき,発症年齢,失立失歩の持続期間,性格傾向,失立失歩以外の症状(解離症状,自律神経症状,行動化),失立失歩の発症状況,生育した家族状況,予後などについて検討した。対象は藤田学園保健衛生大学病院精神科を失立失歩を主訴として受診した17例である。症例は,不登校あるいは不登校傾向から失立失歩の発症へと移行している若年例,典型的なヒステリーの心性として理解できる思春期例,むしろsomatization disorderとも言える高年齢発症例の3つのサブグループにまとめられる。生育歴からは,母親が父親や社会の規範に忠実であり,患者との情緒レベルでの交流に欠けていた様子と,その枠に合うように頑張っている患者の姿とがうかがわれ,これ以上できないという状態の中で発症に至っていた。それゆえ治療としては,治療関係の中で,この休むことができない心性を扱う必要があると考えられた。
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