Japanese
English
研究と報告
経鼻的ならびに喫煙摂取を行った覚醒剤依存の症例—コカイン乱用との関わり
Cases of Amphetamine Dependence through Intranasal and Smoking Use: its relationship with cocaine abuse
妹尾 栄一
1
,
森田 展彰
2
,
中谷 陽二
1
,
斎藤 学
1
,
佐藤 親次
2
,
小田 晋
2
,
秋山 剛
3
,
福本 修
4
Eiichi Seno
1
,
Nobuaki Morita
2
,
Yoji Nakatani
1
,
Satoru Saitoh
1
,
Shinji Satoh
2
,
Susumu Oda
2
,
Tsuyoshi Akiyama
3
,
Osamu Fukumoto
4
1東京都精神医学総合研究所
2筑波大学社会医学系
3東京大学医学部分院精神神経学教室
4静岡大学保健管理センー
1Psychiatric Research Institute of Tokyo
2University of Tsukuba, Institute of Community Medicine
3Department of Neuropsychiatry, Branch Hospital, Faculty of Medicine, University of Tokyo
4The Health-Service-Center of Shizuoka University
キーワード:
Amphetamine dependence
,
Intranasal administration
,
Smoking
,
Cocaine abuse
,
Amphetamine psychosis
Keyword:
Amphetamine dependence
,
Intranasal administration
,
Smoking
,
Cocaine abuse
,
Amphetamine psychosis
pp.811-817
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903091
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【抄録】 筆者らは,覚醒剤の非経静脈的使用,具体的には経鼻的吸引3症例と加熱喫煙1症例を臨床的に治療する機会を得,それらがいずれも最近2〜3年以後に発生している新たな流行パターンを示唆するものと考えられたので,文献的考察を含めて報告した。症例1と症例2では過去に覚醒剤の経静脈的使用歴が先行しており,患者達は既に静注の習慣を身につけていたにもかかわらず経鼻的吸引のほうを好んで続けている。また症例1から3までいずれも経過と共に摂取量がエスカレートし,幻覚・妄想症状を呈したことは,経鼻的摂取もまた経静脈的摂取と同様に重篤な障害をもたらしうる使用パターンであることを示している。症例4は覚醒剤を喫煙によって摂取した結果,著しく遷延する幻覚・妄想症状を呈した。米国ハワイ州で約3年前に発生した覚醒剤をガラスパイプに詰めて喫煙する新たな乱用パターンを移入したものと思われる。今後の動向を予測すると,覚醒剤はコカインに比して半減期が長いことと,わが国においては覚醒剤の流通量がコカインに比して圧倒的に多いことの2点から,クラックタイプのコカインよりも覚醒剤の喫煙吸引の流行の可能性が高いと思われる。
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