Japanese
English
研究と報告
カンナビス精神病と犯罪
Cannabis Psychosis and Crime
滝口 直彦
1
,
石川 義博
2
,
大河内 恒
1
,
永江 三郎
1
Naohiko Takiguchi
1
,
Yoshihiro Ishikawa
2
,
Hisashi Okochi
1
,
Saburo Nagae
1
1八王子医療刑務所
2東京都精神医学総合研究所
1Hachiōji Medical Prison
2Psychiatric Research Institute of Tokyo
キーワード:
Cannabis abuse
,
Cannabis psychosis
,
Crime
,
Forensic psychiatry
,
Cross reverse tolerance
Keyword:
Cannabis abuse
,
Cannabis psychosis
,
Crime
,
Forensic psychiatry
,
Cross reverse tolerance
pp.477-485
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204704
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抄録 カンナビス精神病下で窃盗を行った症例とカンナビス精神病下で暴力行為を行った症例について報告するとともに,従来わが国において議論されていなかった,カンナビス乱用と犯罪との関係について考察を加えた。
文献的展望によれば,現在の時点では,カンナビスは攻撃性の発現や暴力犯罪とは無関係であるか,むしろ抑制するという説が有力である。しかしながら,カンナビス精神病など,ある特殊な状態においては,能動意識の低下から窃盗を行ったり,情性が欠如した中で攻撃性が昂進し,暴力行為を誘発する場合があることを述べた。また,以前わが国で発表されたカンナビス精神病の症例との類似から,カンナビスにも交差逆耐性が存在する可能性があることを述べた。
今後,tetrahydrocannabinol(THC)を高濃度に含む特殊な大麻(シンセミラ)の流行と共に,カンナビス乱用が犯罪を引き起こす可能性が増加すると思われるので,注意を喚起したいと思う。
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