Japanese
English
研究と報告
抗精神病薬投与中にビペリデン筋注の乱用が生じた6例
Six Case Reports on Abuse of Parenteral Biperiden during Antipsychotic Medication
武藤 隆
1
,
融 道男
1
,
鈴木 茂
2
,
樋掛 忠彦
3
,
野沢 征一郎
3
Takashi Muto
1
,
Michio Toru
1
,
Shigeru Suzuki
2
,
Tadahiko Hikake
3
,
Seiichiro Nozawa
3
1信州大学医学部精神医学教室
2諏訪湖畔病院
3長野県立駒ケ根病院
1Department of Psychiatry, Shinshu University School of Medicine
2Suwa-Kohan Hospital
3Nagano Prefectural Komagane Hospital
キーワード:
Biperiden injection
,
Abuse
,
Mood elevating effects
,
Schizophrenics
Keyword:
Biperiden injection
,
Abuse
,
Mood elevating effects
,
Schizophrenics
pp.1049-1056
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902920
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抄録 biperiden筋注の乱用がみられた6例を報告した。乱用者は全て分裂病で,年齢は31歳から63歳で,男5人女1人であった。2例はpassive pleasureにとどまっていたが,2例ではactive pleasureとなっており,残りの2例はpassive pleasureからactive pleasureへの移行過程と考えられた。active pleasureの状態が認められる4例は若く(30歳台),うち2例で物質乱用歴,1例にアルコール飲用歴が認められた。使用されている抗精神病薬との関係は,passive pleasureでは力価の強い薬が引金となっているが,active pleasureでは関連がないように思われた。観察された精神作用は,6例すべてで気分高揚作用として集約されるものであり,psychedelic experienceを求めていると思われる症例はなかった。最高25〜30mg/日使用した例においても中毒性の錯乱状態を呈する症例はなかった。我々の観察の範囲では離脱症状は認められなかった。
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