特集 花粉症の疑問に答える
【治療】
全身ステロイドの筋注投与は推奨されるか?
芦田 直毅
1
,
津田 武
1
Naoki Ashida
1
,
Takeshi Tsuda
1
1大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
アレルギー性鼻炎
,
ステロイド筋注
,
副腎抑制
Keyword:
アレルギー性鼻炎
,
ステロイド筋注
,
副腎抑制
pp.1169-1172
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001788
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背 景
季節性アレルギー性鼻炎は,日本を含む多くの国で有病率が高く,くしゃみ,鼻汁,鼻閉,眼症状などにより生活の質(QOL)を著しく損ねる疾患である。通常,花粉症の治療には第2世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬といった局所療法が第一選択となり,多くの症例で十分な効果を示す。しかし,一部の重症例ではこれら標準治療だけでは症状を制御できず,他の選択肢が検討されることがある。その1つが全身性ステロイドの筋肉注射(以下,ステロイド筋注)であり,トリアムシノロンアセトニドなどの長時間作用型ステロイド製剤をシーズン前~シーズン中に筋注し,強力な抗炎症作用によって数週間(通常4~6週間程度)症状緩和を図る方法である。過去にはイギリスなどで花粉症シーズン中のデポステロイド注射が一般診療で広く行われていた経緯がある1)。

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