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Karl Leonhardは,1988年4月23日,東ベルリンで84年の生涯を閉じた。発病から死に至るまでは僅か2日ばかりの出来事であり,老教授は直前まで精力的に研究活動を続けていたそうである。C. WernickeとK. Kleistの流れの上に更に独創性を発揮した彼の学説は,国境や時代を越えて常に大きな関心を呼び,急性内因性精神病の中間領域(非定型精神病,類循環病,分裂感情病あるいはBouffee deliranteと呼ばれる領域)やいわゆる欠陥分裂病を巡っての症状論的,あるいは疾病論的位置づけに関する論議の中では繰り返し布石とされてきた。Kleist-Leonhard学派の伝統は,内因性精神病を遺伝,症状,経過等から多面的に研究し,分類をより純化し細分化していく。中でも重要な概念である類循環病(zykloide Psychosen)は,不安-恍惚,錯乱-混迷,多動-無動という循環類似性を持ち,症候像の多型性,急性発症,予後良好,反復性等の特徴から診断されるもので,躁うつ病と精神分裂病のいずれにも属さない一群の疾病を取り出すことを可能にする。近年操作的診断基準が精神科領域で重要視されるようになってから,この急性精神病の中間領域の問題はより注目されるようになってきている。没後1周年に当たるこの時期に当シンポジウムが創設されたことの意味もそこにあると思われる。
この第1回シンポジウムは,1989年4月27日から3日間,西独Wurzburg大学精神科において開催された。初日の開会式ではWurzburg大学精神科部長のBeckmann教授に続いて,故人と個人的にも懇意であった日本の福田哲雄教授(同志社大学,大阪精神医学研究所)が後援組織「生物学的精神医学会世界連合(WFSBP)」のプレジデントとして紹介され,開会の挨拶を送った。この日のイベントの一つであった故人の診察風景のVideo公開は,人となりを偲ぶ以上に,彼の緻密な学説の土壌であろう,患者へのうむことのない関心を感じさせ,興味深いものであった。
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