「精神医学」への手紙
摂食障害と薬物乱用—松本論文を読んで
永田 利彦
1
1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
pp.220-221
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902592
- 有料閲覧
- 文献概要
本誌6月号の松本ら3)の報告を読んだ。多数の女性覚醒剤症例を対象にしたもので,たいへん有意義な研究である。しかし,「物質乱用と摂食障害は同じ嗜癖行動として密接な関係にある」とし,小生らとは意見を異にするとのことであった。この問題は,観点によって大きく異なるので,それぞれ「賛同している」点と「意見を異にする」点を述べたい。
まず,「賛同」は,普通の摂食障害の治療者が思っているより,薬物乱用・依存症例で摂食障害の合併が多いという点である。それは松本らの報告を待つまでもなく,鈴木ら7)の女性アルコール依存症例での研究ですでに明らかにされているし,どのアルコール,薬物依存の治療者の意見も一致するところである。小生自身のアルコール治療施設での経験でもそうである。一方で大学病院に覚醒剤といったハードな症例が来院することが少ないのも確かである。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.