エージング・レポート イギリスの老年医療見てある記・7
各地の老年科めぐり[3]—ハル,バーミンガム
青木 信雄
1
1五木田病院,前堀川病院
pp.826-828
発行日 1982年7月1日
Published Date 1982/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919613
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老年科医のひとつの夢を実現したハル地域の老年科
ニューカッスルを訪ねた後,同じ東海岸にあるハルを訪れました.かつて毛織り物や綿製品などの代表的な輸出港だったとのことで,市街地から車を数十分とばすと,そこはもう茫茫とした北海に連なる断崖となり,灰色の海から荒々しい波が打ち寄せています.夏は保養地となり,テラスを張り出した白塗りの建て物がずらりと並んでいました.とはいえ,北海は夏でも水が冷たく,泳ぐ人はごくわずかで,せいぜいデッキチェアを持ち出して日光浴を楽しむだけのようです.
人口は約30万,うち65歳以上が20%近くを占め,一番近い医科大学がある都市からも数十キロ離れた,ややひなびた感じの街ですが,数ある老年科の中でも今や,脚光を浴びている所です.それというのも全国各地の老年科医がやりたいと思っても,ベッドやスタッフの不足,他科との関係などの制約があり,できないでいる1つの夢—老人患者を急性期から慢性期まで全部受け入れること—をいち早く実現しているからです.
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