英国イングランドの精神障害者ケアマネジメント（ケースマネジメント）

Care (Case) Management for Mentally Disabled People in England

はじめに

　わが国の精神保健福祉サービスは，精神病院入院中心から地域ケア中心へと大きく変化しようとしている。実際，ここ20年ほどで精神科通院患者数は急激に増加し，それは最も重篤な精神疾患と考えられる統合失調症においても認められている。しかしながら精神病院在院患者数は34万人程度でここ数年の間大きな変化がなく，これは国際的に見ても非常に多いことから批判がなされ⁷⁾，施設症の問題も指摘されている¹³⁾。こうした中で，2003年の新障害者プランでは，社会的入院と考えられる7万2千人の地域への移行が目標とされ，そのための具体的な方策が検討されている。

　精神障害者のケアマネジメントは，わが国での地域ケアを推進する重要な手段として注目されている。また現在重視されている根拠に基づく実践（evidence based practice；EBP）の立場からしても，精神障害者ケアマネジメントは，再入院予防，在院期間の短縮などに有効な手段と考えられる。したがって，新たな7万2千人の在院患者の地域への移行を考えた場合，ケアマネジメントの展開は不可欠の要素と考えられる¹²⁾。

　これまでに，わが国では精力的に精神障害者ケアマネジメントのあり方が検討されてきた¹²⁾。そうした中で，英国イングランドにおけるケアマネジメントのあり方とその発展を検討することは，わが国での地域ケアの進展に寄与すると考えられる。