「精神医学」への手紙
精神医学界における環境ホルモン対策研究を望む
藤川 徳美
1
,
佐伯 俊成
2
1国立療養所賀茂病院
2広島大学医学部神経精神医学教室
pp.548-549
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902228
- 有料閲覧
- 文献概要
水銀(水俣病),カドミウム(イタイイタイ病),塵肺などの従来の環境汚染物質は,比較的高用量の体内蓄積により臓器障害や神経障害を来すものであるが,近年注目されている環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)は,極微量の体内蓄積にて性ホルモン系をはじめとする内分泌系に作用し,標的臓器における機能異常を来すものである。
環境ホルモンは生物に対して女性ホルモンあるいは男性ホルモンのレセプター,あるいはレセプター結合以降の細胞内伝達系に作用して当該ホルモンの作用を撹乱する。環境ホルモンは弱いエストロゲン作用を発揮する場合と,逆にアンタゴニストとして働く場合があり,今までダイオキシン,ビスフェノールAなど50種類以上の物質が同定されている。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.