シリーズ最新医学講座・Ⅱ シグナル伝達・11
環境ホルモンシグナル伝達
野村 政壽
1
,
森永 秀孝
1
,
後藤 公宣
1
,
名和田 新
1
Masatoshi NOMURA
1
,
Hidetaka MORINAGA
1
,
Kiminobu GOTO
1
,
Hajime NAWATA
1
1九州大学大学院医学研究院病態制御内科学(第3内科)
pp.1553-1562
発行日 2003年11月15日
Published Date 2003/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101051
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はじめに
内分泌攪乱物質は「動物の生体内に取り込まれた場合,本来その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質」(環境ホルモン戦略計画SPEED '98)もしくは「内分泌系に変化をもたらし,無処置の生物もしくはその子孫に,健康上有害な影響を及ぼす外因性物質,もしくは混合物」(WHO,1998)と定義される.内分泌攪乱物質は様々な呼び方をされており,例えば,環境エストロゲン(environmental estrogens),環境ホルモン(environmental hormones),内分泌攪乱化学物質(endocrine disrupting chemicals),内分泌変調物質(endocrine modulators)といった具合である.
環境庁は1998年5月に,環境ホルモン戦略計画SPEED '98において内分泌攪乱作用が疑われる67の化学物質を公表している(表1).これら化学物質がホルモン作用を有する可能性が示唆されているわけであるが,表2にその作用機序の概略を示すように,エストロゲン作用,抗アンドロゲン作用を有する化学物質がそのほとんどである.これらの物質の環境中への放出により,マスコミで問題となっている「メス化する自然」の原因となっている可能性がある.
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