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特集 —身体疾患の患者・家族のこころを支える—コンサルテーション・リエゾン精神医学
コンサルテーション・リエゾンにおいて治療拒否に遭遇した際の倫理的考察
Clinical Ethics in Consultation-Liaison Psychiatry Concerning Patient Refuse to Care
桑原 達郎
1
Tatsuro Kuwahara
1
1国家公務員共済組合連合会立川病院精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, KKR Tachikawa Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
臨床倫理
,
clinical ethics
,
コンサルテーション・リエゾン精神医学
,
consultation liaison psychiatry
,
治療拒否
,
refusal of care
Keyword:
臨床倫理
,
clinical ethics
,
コンサルテーション・リエゾン精神医学
,
consultation liaison psychiatry
,
治療拒否
,
refusal of care
pp.1188-1193
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207378
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抄録
コンサルテーション・リエゾンにおいては,患者の治療拒否にしばしば遭遇する。その場合,医師は臨床倫理について意識せざるを得ない。臨床倫理の原則は,BeauchampとChildressによって医療倫理の4原則として簡便かつ有用な形でまとめられている。治療拒否は,4原則のうち,自律尊重原則と連動している。同意能力があれば自律尊重原則は機能するが,同意能力がなければ機能しない。同意能力があると評価された場合でも,患者の治療拒否はあらゆる場面で倫理的に正しいわけではない。同意能力がない場合でも,医師は治療拒否を乗り越えて十分に倫理的行動をとることができるわけではない。これらは倫理的要素だけではなく法的な要素が関与している。医師は,法的リスクに対応できる範囲で,最大限倫理的な行動をとるよう努力することが,現実に即した対応であると考えられる。
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