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特集 アディクション—コロナ禍で変わったこと,変わらないこと
【行動嗜癖】
摂食障害と常習窃盗—どこまで嗜癖性で説明できるのか
Eating Disorders and Habitual Theft : To what Extent can we explain each of them as an Addiction?
瀧井 正人
1
Masato Takii
1
1北九州医療刑務所
1Kitakyushu Medical Prison, Fukuoka, Japan
キーワード:
摂食障害
,
eating disorders
,
嗜癖
,
addiction
,
窃盗
,
theft
,
重症遷延性神経性やせ症
,
severe and enduring anorexia nervosa
,
クレプトマニア
,
kleptomania
Keyword:
摂食障害
,
eating disorders
,
嗜癖
,
addiction
,
窃盗
,
theft
,
重症遷延性神経性やせ症
,
severe and enduring anorexia nervosa
,
クレプトマニア
,
kleptomania
pp.959-965
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207337
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抄録
摂食障害(ED)はもともとの病像も重症度もさまざまであり,しかもステージによって病態は大きく変わる。EDが慢性化すると,患者の様相は「禁欲的・強迫的」から「欲求充足的・嗜癖的」に変化する。特に,過食・嘔吐が始まると,抑え込んでいた欲求を充足させる快感をむさぼるようになり,過食・嘔吐は嗜癖となっていく。
ED発症早期から習慣的に窃盗を行っている患者は少ないが,EDが遷延化すると著明に増加する。EDの遷延化に伴う心理面の悪化により,倫理感・道徳観は減退し,罪悪感も薄れ,もともと高かった窃盗へのハードルは低くなる。しかし,ED患者の窃盗は,窃盗自体が嗜癖となっているというのではなく,過食・嘔吐のための食材を手に入れるためだったり,窃盗や溜め込みが食べることの代償行為となっているなど,EDの病理に伴って二次的に行われているという面が大きい。
ED患者の窃盗をすべて「クレプトマニア」とみなすことについては,誤解を招く点が大きく,賛成しない。
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