Japanese
English
展望
摂食障害と窃盗についての司法精神医学的考察
Eating Disorders and Theft(Shoplifting):Assessment and treatment from a perspective of forensic psychiatry
梁瀬 まや
1,2
,
村井 俊哉
3
,
野間 俊一
3,4
Maya Yanase
1,2
,
Toshiya Murai
3
,
Shun'ichi Noma
3,4
1和歌山県立こころの医療センター精神科
2京都大学大学院医学研究科地域医療システム学講座(精神医学)
3京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学)
4嵯峨さくら病院
1Department of Psychiatry, Wakayama Mental Health Center, Wakayama, Japan
2Department of Community Medicine Supporting System(Psychiatry), Kyoto University Graduate School of Medicine
3Department of Psychiatry, Kyoto University Graduate School of Medicine
4Saga Sakura Hospital
キーワード:
摂食障害
,
eating disorders
,
窃盗
,
万引き
,
theft
,
shoplifting
,
精神鑑定
,
forensic assessment
,
ドイツ
,
Germany
,
スウェーデン
,
Sweden
Keyword:
摂食障害
,
eating disorders
,
窃盗
,
万引き
,
theft
,
shoplifting
,
精神鑑定
,
forensic assessment
,
ドイツ
,
Germany
,
スウェーデン
,
Sweden
pp.195-210
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206007
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
抄録 摂食障害患者にしばしば万引き(以下,窃盗)行為のみられることが臨床的に知られるが,その心理社会的背景や累犯化要因は明らかでない。摂食障害病理との直接的関連が指摘される一方で,服役回数が複数回に及ぶ累犯には行動嗜癖の側面が目立つ。その併発症は不安・抑うつ・解離・強迫と多岐にわたり,亜群に分類する必要性も示唆される。服役出所を繰り返してもなお再犯が止まない累犯については,単なる拘禁刑に再犯抑止効果を期待することは困難で,治療的関与が望まれる。司法精神医学的評価や処遇のあり方・介入方法を見直す必要があるが,しかしながら,摂食障害の窃盗について,司法精神医学的見地から精神症状を総合的に調査した研究や,再犯防止の観点から介入方法について検討した研究は乏しく,基礎データの蓄積もない。このため,精神鑑定においては議論が錯綜しており,実効性ある治療的介入方法も解明されていない。本稿では,窃盗犯で服役する摂食障害女子受刑者を対象に我々が実施した調査結果,ドイツ・スウェーデンをはじめ各国の触法精神障害者処遇例を踏まえ,摂食障害と窃盗について,司法精神医学的観点から考察する。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.