Japanese
English
特集 精神疾患・精神症状にはどこまで脳器質的背景があるのか—現代の視点から見直す
精神疾患・精神症状の脳器質的背景—自己免疫性精神病とカタトニアを中心に
Organic Background of Psychiatric Disorders and Symptoms : Autoimmune Psychosis and Catatonia
髙木 学
1
,
山田 了士
2
,
酒本 真次
3
Manabu Takaki
1
,
Norihito Yamada
2
,
Shinji Sakamoto
3
1岡山大学学術研究院医歯薬学域精神神経病態学
2岡山県精神科医療センター
3岡山大学病院精神科神経科
1Department of Neuropsychiatry, Okayama University Faculty of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences, Okayama, Japan
2Okayama Psychiatric Medical Center
3Department of Neuropsychiatry, Okayama University Hospital
キーワード:
抗NMDA受容体抗体脳炎
,
anti-NMDAR encephalitis
,
異常行動
,
abnormal behavior
,
幻覚妄想
,
hallucination and delusion
,
気分症状
,
mood symptom
,
カタトニア
,
catatonia
Keyword:
抗NMDA受容体抗体脳炎
,
anti-NMDAR encephalitis
,
異常行動
,
abnormal behavior
,
幻覚妄想
,
hallucination and delusion
,
気分症状
,
mood symptom
,
カタトニア
,
catatonia
pp.369-375
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207233
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抄録
抗NMDA受容体(NMDAR)抗体脳炎をはじめとする辺縁系脳炎のうち,精神症状が主体なものは自己免疫性精神病と呼ばれる。辺縁系脳炎で認める精神症状には,異常行動,幻覚,妄想,気分症状,カタトニアなどが多く,これらは統合失調症や気分障害などの内因性精神疾患でも普通に認める症状であるため,臨床現場では鑑別がしばしば困難となる。本稿では,抗NMDAR抗体脳炎と内因性精神疾患との類似点・相違点を大脳辺縁系の機能に注目して整理した。カタトニアは,大脳皮質→大脳基底核(線条体,視床下核,淡蒼球,黒質)→視床→大脳皮質の運動系ループが障害されて生じる。カタトニアを生じる機序と自己免疫性脳炎の関連を中心に記載した。抗NMDAR抗体脳炎と内因性精神疾患は臨床経過を慎重に観察すれば,似て非なるものではあるが,免疫学的異常による大脳辺縁系の機能障害という点でつながる可能性がある。
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