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特集 性差と精神医学—なぜ頻度や重症度に差があるのか
自殺関連行動における性差—自殺企図行動のプロセスとジェンダー・パラドックス
Gender Differences in Suicidal Behaviours : the Suicidal Process and the Gender Paradox of Suicidal Behaviours
小熊 貴之
1,2
,
石橋 竜太朗
2
,
河西 千秋
2
Takayuki Oguma
1,2
,
Ryutaro Ishibashi
2
,
Chiaki Kawanishi
2
1江別市立病院精神科
2札幌医科大学医学部神経精神医学講座
1Psychiatry Department, Ebetsu City Hospital, Hokkaido, Japan
2Department of Neuropsychiatry, Sapporo Medical University Graduate School of Medicine
キーワード:
自殺
,
suicide
,
自殺未遂
,
suicide attempt
,
自殺関連行動
,
suicide related behaviour
,
性差
,
gender difference
Keyword:
自殺
,
suicide
,
自殺未遂
,
suicide attempt
,
自殺関連行動
,
suicide related behaviour
,
性差
,
gender difference
pp.89-94
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207175
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抄録
自殺死亡は男性に多いが,自殺未遂や自殺念慮は女性に多い。この自殺関連行動における性差は「自殺行動のジェンダー・パラドックス」として知られている。また,「自殺プロセス」は,自殺を企て,繰り返すうちに非致死的な手段から致死的な手段へと移行し,最終的に自殺死亡へと進行していく概念である。本稿では,国内外の知見を基に,自殺行動のジェンダー・パラドックスが生じる理由について,生物的,心理的,そして文化・社会的な性差が自殺プロセスに与える影響を検討し,自殺プロセス自体に性差が生じており,自殺行動のジェンダー・パラドックスを形成する要因となっていることを論考した。今後の展望として,自殺関連行動の性差に着目した研究が発展することで,自殺行動のジェンダー・パラドックスが真の意味で解消されることを期待している。
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