Japanese
English
特集 精神神経疾患の治療とQOL
物質使用障害治療とQOL
Treatment pf Substance Use Disorder and QOL
松本 俊彦
1
Toshihiko Matsumoto
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部
1Department of Drug Dependence Research, National Institute of Mental Health, National Center of Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan
キーワード:
物質使用障害
,
substance use disorder
,
生活の質
,
quality of life
,
QOL
,
ハームリダクション
,
harm reduction
,
ハウジング・ファースト
,
housing first
Keyword:
物質使用障害
,
substance use disorder
,
生活の質
,
quality of life
,
QOL
,
ハームリダクション
,
harm reduction
,
ハウジング・ファースト
,
housing first
pp.341-348
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206579
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抄録 本稿では,依存症・嗜癖性障害の中で特に物質使用障害を取り上げ,その治療とQOLとの関係に関する先行研究を概説するとともに,物質使用障害治療に関する課題と展望を述べた。先行研究は,物質使用障害の治療がおおむね患者QOLを改善させる効果がある一方で,治療に対する反応性が乏しい者,ならびに,社会的孤立や併存精神障害を抱える者にとっては必ずしもQOLを改善させない可能性があることを示唆している。そのような者に対しては,ハームリダクション・アプローチや,そのより先鋭的な支援手法であるハウジング・ファーストがQOLの改善のみならず,物質使用の低減にも効果的であるかもしれない。最後に,わが国の薬物使用障害を抱える者に対する厳罰政策そのものが,当事者を社会的に孤立させ,QOLを低減させる可能性があることを指摘した。
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