Japanese
English
特集 精神疾患回復の時間経過を見通す
強迫症—その発症から回復までの過程
Time Course from Onset to Recovery : Obsessive-Compulsive Disorder
中尾 智博
1
Tomohiro Nakao
1
1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
1Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, Fukuoka, Japan
キーワード:
強迫症
,
obsessive-compulsive disorder
,
OCD
,
回復
,
recovery
,
経過
,
course
,
治療介入
,
therapeutic intervention
Keyword:
強迫症
,
obsessive-compulsive disorder
,
OCD
,
回復
,
recovery
,
経過
,
course
,
治療介入
,
therapeutic intervention
pp.1498-1505
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207120
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抄録
強迫症(OCD)は,強迫観念と強迫行為を主症状とする疾患である。10代前半と20歳前後に二峰性の発症のピークがあり,生涯有病率は約2%と精神疾患としては頻度が高く,慢性化による生活機能障害を来しやすい。男性では10代早期に発症のピークがあり,遺伝負因・家族歴が濃厚で,チックや自閉スペクトラム症を併存しやすい。一方,女性の発症のピークは20歳前後と男性より遅い。成人発症例は進学や就職,転居,結婚,出産といったライフイベントに伴うストレスと環境変化が症状の成立に関与することが多く,うつ病や不安症の併発も多い。発症から受診までに比較的長期間を要するのも特徴である。適切な治療が行われなければ長期慢性化し,難治化するリスクが高い。早期に症状に気づき,早めに受診し,薬物療法や精神療法による適切な治療介入を行うことで症状と生活機能の速やかな回復を目指し,長期的な回復の維持につなげることが大事である。
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