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特集 DSM-5からDSM-5-TRへ—何が変わったのか
身体症状症及び関連症群—心身二元論からの脱却
Somatic Symptom and Related Disorder: Breaking Free from Mind-Body Dualism
関口 敦
1
Atsushi Sekiguchi
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所行動医学研究部心身症研究室
1Department of Behavioral Medicine, National Institute of Mental Health, National Center of Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan
キーワード:
DSM-5-TR
,
心身二元論
,
mind-body dualism
,
心身症
,
psychosomatic disorders
,
身体科
Keyword:
DSM-5-TR
,
心身二元論
,
mind-body dualism
,
心身症
,
psychosomatic disorders
,
身体科
pp.1395-1399
発行日 2023年10月15日
Published Date 2023/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207099
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抄録
DSMの改訂は,精神医学の知識と理解が進歩するにつれて,その反映として行われてきた。「身体症状症及び関連症候群」の最近の改訂は,これらの変化を端的に示している。特に,DSM-ⅣからDSM-5への改訂では,「身体症状症」という新たなカテゴリーが作成され,それまで「身体表現性障害」「虚偽性障害」と称されていた疾患群が再定義された。DSM-5-TRでは「心因性」や「転換性障害」といった概念から離脱し,心身二元論からの脱却がより明確になった。この枠組みは,身体症状は単なる精神疾患の表現型との理解を超えて,身体的苦痛と精神的苦痛は密接に関連していることを認識し,身体症状の訴えが,意識的または意図的なものであるかを問わないという考え方に基づいている。
本稿では,DSM-5-TRでの「身体症状症および関連症群」における改訂点について,身体科(心療内科)医としての視点も意識しながら,見解を述べる。
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