Japanese
English
特集 複雑性PTSDの臨床
潰されて終わって堪るか—サバイバーの私が複雑性PTSDを克服した過程
I will never be crushed and buried:The process I suvived abuse and overcame CPTSD
小石川 真実
Masami Koishikawa
キーワード:
複雑性PTSD
,
CPTSD
,
両親の精神的暴力
,
mental violence by parents
,
自尊心の破壊
,
destruction of self-esteem
,
主体性の剝奪
,
deprivation of independence
,
患者の自己治療
,
self treatment by patient
,
伴走
,
accompaniment
Keyword:
複雑性PTSD
,
CPTSD
,
両親の精神的暴力
,
mental violence by parents
,
自尊心の破壊
,
destruction of self-esteem
,
主体性の剝奪
,
deprivation of independence
,
患者の自己治療
,
self treatment by patient
,
伴走
,
accompaniment
pp.1165-1171
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207059
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抄録
私は両親の精神的暴力からサバイブした。親の精神的暴力は複雑性PTSD(CPTSD)の典型だ。私の場合,暴力の本質は自尊心の破壊と主体性の剝奪だった。性格も能力も存在自体もことごとく否定され,母と同じ感じ方・考え方をし,母が望む欲求を持てと強いられた。結果,私は「私はこの世に生きる資格がない」という全き自己否定と「自分がどう感じ,どう考え,何がしたいのかわからない」という自己同一性障害という心的外傷を負った。さらにその結果,うつ病と境界性パーソナリティ障害(BPD)というCPTSDを発症した。26歳から精神科にかかった私は37歳でやっと,親が私に加えてきた仕打ちは誤りだったという私の訴えに全面的に同意してくれる医師に出会い,急速に回復し始めた。「私にもほかの人たち同様,生きる資格がある」と思えたからだ。だから精神科の先生方には患者が気が済むまで訴えを聴き,どの患者にも「潰されて終わって堪るか」と思わせてあげてほしい。そして回復軌道に乗ったら患者の自己治療の良き伴走者になってほしい。
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