Japanese
English
特集 子どものうつ病に気づく
子どものうつ病の神経生物学
Neurobiology of depression in children and adolescents
岡田 俊
1
Takashi Okada
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部
1Department of Developmental Disorders, National Institute of Mental Health, National Center of Neurology and Psychiatry, Tokyo, Japan
キーワード:
うつ病
,
depression
,
核磁気共鳴画像
,
Magnetic Resonance Imaging
,
単一光子放射断層撮影
,
Single Photon Emission Computed Tomography
,
脳波
,
Electroencephalography
,
近赤外線分光法
,
Near Infra-Red Spectoroscopy
Keyword:
うつ病
,
depression
,
核磁気共鳴画像
,
Magnetic Resonance Imaging
,
単一光子放射断層撮影
,
Single Photon Emission Computed Tomography
,
脳波
,
Electroencephalography
,
近赤外線分光法
,
Near Infra-Red Spectoroscopy
pp.996-999
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207030
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抄録
子どものうつ病は,その臨床経過や治療反応性から成人期と比べて非定型的であることが報告されてきた。子どものうつ病が確固とした病態たりえているかを調べる最善な方法は,神経生物学的エビデンスに基づく明確化であり,本稿では,これらのエビデンスを展望した。その結果,核磁気共鳴画像では海馬や眼窩前頭皮質の低容積が,脳波活動では左右非対称性が報告されるなど,成人期と共通する知見が認められた。しかし,単一光子放射断層撮影では,異なる所見を示す2群があると報告されるなど異質性が報告されているほか,近赤外線分光法では抑うつ症状の改善とともに酸素化ヘモグロビン濃度も上昇するなど,state markerとしての役割も認められる。子どものうつ病を神経生物学的に規定するためには,ほかの精神疾患や神経発達症特性の交絡を考慮すること,経過を踏まえたより厳密な診断を採用するなどの方法論が求められる一方,十分なサンプルサイズが求められるという課題を有することを指摘した。
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