Japanese
English
特集 子どものうつ病に気づく
現代の日本における子どものうつ病臨床の現状
Current clinical conditions of depression in child and adolescent in Japan today
稲垣 貴彦
1,2
Takahiko Inagaki
1,2
1医療法人明和会琵琶湖病院思春期青年期治療部
2滋賀医科大学精神医学講座
1Adolescent Mental Health Service, Biwako Hospital
2Department of Psychiatry, Shiga University of Medical Science, Shiga, Japan
キーワード:
児童思春期
,
child and adolescent
,
うつ病
,
depression
,
臨床状況
,
clinical condition
,
早期発見
,
early detection
,
過少診断
,
underdiagnosis
Keyword:
児童思春期
,
child and adolescent
,
うつ病
,
depression
,
臨床状況
,
clinical condition
,
早期発見
,
early detection
,
過少診断
,
underdiagnosis
pp.973-979
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207027
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
抄録
子どものうつ病は,再発率が46.6%あるとはいえ,1年以内に66.3%が,5年以内に96.4%が寛解する,比較的予後のよい疾患である。しかし,種々の問題行動の原因になり,教育達成度の低下や,成人した後の福祉依存度や失業率の増加といった,心理社会的機能の悪化につながり,早期発見・早期治療が重要である。
子どもにおける有病率は精神障害全体で13.4%に対し,うつ病が1.3%である。しかし日本においては,メンタルヘルスの問題で受診した子どものうち,気分障害全体で男子の2%,女子の6%を占めるにすぎない。うつ病の診断に必要とされる情報量は膨大であるが,日本の臨床状況においては許容される時間が諸外国に比べて短く,うつ病の見落としが懸念される。
日本における子どもの心の臨床での現状を踏まえた上で,子どものうつ病の早期発見,つまり日々の臨床の中で子どものうつ病に適切に気づく方法について検討する必要がある。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.