Japanese
English
特集 子どものうつ病に気づく
子どものうつ病の臨床におけるライフコースと発達精神病理学の視点
Understanding childhood depression from life course and developmental psychopathology perspectives: Toward social implementation of preventive intervention for depression
山下 洋
1
Hiroshi Yamashita
1
1九州大学病院子どものこころの診療部
1Department of Child Psychiatry, Kyushu University Hospital, Fukuoka, Japan
キーワード:
子どものうつ病
,
childhood depression
,
発達精神病理学
,
developmental psychopathology
,
うつ病の社会的起源
,
social origin of depression
,
リプロダクティブ・イベント
,
reproductive event
,
アタッチメントに基づく介入
,
attachment based intervention
Keyword:
子どものうつ病
,
childhood depression
,
発達精神病理学
,
developmental psychopathology
,
うつ病の社会的起源
,
social origin of depression
,
リプロダクティブ・イベント
,
reproductive event
,
アタッチメントに基づく介入
,
attachment based intervention
pp.988-994
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207029
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抄録
抑うつ(depression)がライフコースを通じてみられる気分における1つの状態であることが共通認識となり,子どものうつについての実態把握と早期発見と予防に向けた啓発活動も広がっている。早期発達の重要性の観点から学齢前期の抑うつについて1940年代から養育的ケアの剥奪との関連が注目され,子どもにおける対象喪失と悲嘆という概念化と啓発から,小児医療における母児同室,児童福祉における脱施設化などの社会運動につながった。1980年代以降,発達精神病理学に基づくコホート研究からリプロダクティブ・イベントとしての思春期とうつ病の発症脆弱性の性差という病態モデルが示された。全世界的なCOVID-19パンデミックにおいて発達途上の子どもと家族にとっての心理社会的ストレスと抑うつの関連が社会的注目を浴びた。これを契機に生物・心理・社会的な枠組みから,この時期の発症脆弱性に対してレジリエンスに基づく統一プロトコールやアタッチメントに基づく介入が社会実装され,学校や家庭に対して提供されることが望まれる。
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