Japanese
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特集 「実感と納得」に向けた病気と治療の伝え方
自殺企図(救急場面)—「苦しみ」と「自己存在」に着目したアプローチ
Dealing with Suicide Attempt Patients Focusing on Suffering and Self-existence
藤平 和吉
1
,
井上 恵理子
2
,
相澤 千鶴
2
Kazuyoshi Fujihira
1
,
Eriko Inoue
2
,
Chizuru Aizawa
2
1群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学
2群馬大学医学部附属病院精神科神経科
1Department of Psychiatry and Neuroscience, Gunma University Graduate School of Medicine, Maebashi, Japan
2Department of Psychiatry Neurology, Gunma University Hospital
キーワード:
自殺企図
,
suicide attempt
,
苦しみ
,
suffering
,
自己存在
,
self-existence
Keyword:
自殺企図
,
suicide attempt
,
苦しみ
,
suffering
,
自己存在
,
self-existence
pp.1697-1703
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206495
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抄録 自殺企図後の救急場面で,患者の「実感と納得」に資する援助の在り方を検討した。対応の骨子の1つ目は患者の「苦しみ」に応じることである。傾聴は苦しみを受け取る作業であり,患者は「語り」を通して,自分自身の苦しみとの関係を変えていく端緒となる。骨子の2つ目は「自己存在」の回復である。自殺企図を行う患者の多くは,自律存在・関係存在・時間存在に分類される自己存在が弱まっており,それが苦しみの背景にある。患者の価値意識を共有しながら自己存在の弱まりを確認し,それが回復するようなさまざまな工夫を考えると,患者の実感と納得に近づく道筋が見えてくる。こうした回復の過程は,統合失調症治療で提示される「リカバリー」概念にも通じるものだが,精神疾患の長期的な回復過程のみならず,自殺企図後の救急場面でも有用な発想となる。
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